The summary of
"The Structure of Scientific Revolutions"
---Paradigm 極私論 <personal recollection>---

文責;菅井 学 SUGAI, Manabu.
E-mail : SUGAI, Manabu.
last modified: 7th/Mar./ 2001

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Table of Contents

  1. 前説 ('01)
  2. 著者略歴 ('01)
  3. 本書の概略 ('01)
  4. Paradigm理論の一断章 ('98)
    1. The Function of Paradigms
    2. The Existence of Counterinstances
    3. The Nature of Extraordinary Research
    4. The Response to Crisis
    5. The Nature of Scientific Revolution
    6. Revolutions as Changes of World View
  5. 後記 ('98)

まえがき

ここでは、科学史家 Thomas Samuel KUHN (1922-1996) の主著 The Structure of Scientific Revolutions (Third Edition), The University of Chicago Press, Chicago, ©1962, 1970, 1996 (科学革命の構造、 中山茂 訳、みすず書房、1971)を紹介する。

紹介する私は、理学部物理学科卒業、大学院博士前期過程(修士過程)修了まで、物理学の専門教育を受けており、科学史、科学哲学、科学社会学などの人文科目に関する専門教育は全く受けたことがない。従って、本稿は、素人の余技的な関心に過ぎず、正確さは保証できない。

本稿は一個人が余技的な趣味の下、 The Structure of Scientific Revolutions を読んだ覚書に過ぎず、如何なる専門的背景も存しない。ご覧になられる方はその点を留意し、本稿によって Kuhn の科学革命論を語ってはならない。科学革命 (scientific revolution)、パラダイム (paradigms)、翻訳不可能性 (incommensurabirity) に関心をお持ちの方には、The Structure of Scientific Revolutions 自身に当たることを強く勧める。

1998年1月に、現代思想の冒険者たち 第24巻 クーン ― パラダイム (野家 啓一 著 講談社)が出版された。まだ詳しく目を通していないが、一言で言えば「労作」と評せようか。科学史 (history of science) 、科学哲学 (philosphy of science)、科学社会学 (sciology of science) 、特に新科学哲学に付いての、手際の良い概観が得られる。

野家 啓一:東北大教授、科学哲学専攻。柄谷 行人今村 仁司 らとのコラボレーションも多い。講談社現代思想の冒険者たち シリーズの編者の一人。

もし科学史、科学哲学、科学社会学など、科学論に興味があるならば、 現代科学論の名著 (村上陽一郎編 中公新書 922) が一冊目としては恐らく最適だ。

一方、 web 上の日本語文献では、科学に関する思想の資料は数有れど、 Kuhn に言及しているものは少なく、言及していても紋切り型である場合が多い。学術的に掘り返す資源が無い、と言うことを表しているのかもしれない。

その中で、 Kuhn の科学革命理論を巧く纏めたサイトがあったので、紹介しておく。クーンの科学論入門である。悪戯に批判的なわけでもなく、唯纏めているだけというわけでもない。また、翻訳の誤謬が指摘される中山訳(「科学革命の構造」、みすず書房、1971)と常石訳(「コペルニクス革命」、紀伊国屋書店、1976)に付いての論評も有る。上の階層も面白いので、一度訪問されたい。ここは掲示板もあって、非常に活気の有る良いサイトだ。

本稿をご覧になられた諸兄の御指導、御鞭撻を賜れればこれに勝る喜びはない。伏してお願いする次第である。

本書の構成

このページ以下は、§1. 周辺案内§2. 著者略歴§3. 本書の概略§4. Paradigm理論の一断章 とから成る。

§1. では、周辺案内として、伝統的な科学方法論や認識論的権利問題などを論じた科学哲学の歴史に付いて素描する。主として、ウィーン学団の論理実証主義と、ポパーの批判的合理主義に付いて紹介する。後半では、クーンと共通する立場である新科学哲学を代表する思想の幾つかを紹介する。

§2. では、著者略歴として、『科学革命の構造』刊行に至るまでの、クーンの経歴を紹介し、特に、物理学から科学史・科学哲学に転向した経緯と、パラダイム概念の誕生前後の思想的転回に付いて紹介する。

§3. では、本書の概略として、『科学革命の構造』の各章の内容を概観する。本書に目を通される場合の案内になれば幸いである。

最後に §4. では、「パラダイム」に注目して、クーンの科学革命論の概要を紹介する。特に、 §1.-§2. を背景とする。

本稿中の The Structure of Scientific Revolutions からの「引用」は The University of Chicago Press の Third Edition ©1996 に拠った。本稿は引用文を読み飛ばすと、非常な誤解が生じると思われるので、必ず御読みになられたい。

本稿中では、読者諸兄に、古典物理学、量子力学、相対論に関して、一応の理解が有るものと前提し、逆に思想・哲学・歴史に関する予備知識は一切前提としなかった。これは、私自身の教養の偏りに由来する所である。従って、歴史的、哲学的内容に関しては繰り返し述べられ、くどくなったかもしれず、古典物理学以来の科学リテラシーに関しては不親切であるかもしれない。唯、所謂物理学に関しては、学部レベルの教科書、演習書を紐解く以外に習得の道は無いので、やむを得ないと考えている。しかし、今後、内在的学説史を私自身が勉強するに当って、別稿を立てたい。

この原稿は学部三年の頃 (19th/ Jan./ '98) に脱稿したものであり、目的はあくまでも紹介、纏めであって、議論のための準備であった。とはいえ、余りに皮相的でステレオタイプである感も否めない。現在広く流布している誤解を助長するのではないかと怖れる。

since 19th/Jan./'98 - 1st/June/'98 - 27th/Feb./2001


The Structure of Scientific Revolutions (Third Edition) の目次

The Structure of Scientific Revolutions (Third Edition)
Thomas S. KUHN, The University of Chicago Press, Chicago and London, ©1962,1970,1996

  1. Preface
  2. Introduction: A Role for History
  3. The Route to Normal Science
  4. The Nature of Normal Science
  5. Normal Science as Puzzle-solving
  6. The Priority of Paradigm
  7. Anomaly and the Emergence of Scientific Discoveries
  8. Crisis and the Emergence of Scientific Theories
  9. The Response to Crisis
  10. The Nature and Necessity of Scientific Revolutions
  11. Revolutions as Changes of World View
  12. The Invisibility of Revolutions
  13. The Resolutions of Revolutions
  14. Progress through Revolutions
  15. Postscript - 1969
    1. Paradigms and Community Structures
    2. Paradigms as the Constellation of Group Commitments
    3. Paradigms as Shared Examples
    4. Tacit Knowledge and Intuition
    5. Exemplars, Incommensurability, and Revolutions
    6. Revolutions and Relativism
    7. The Nature of Science
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文責;菅井 学 Sugai Manabu, E-mail : SUGAI, Manabu.
(27th/ Feb./ 2001)
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