4-3. The Nature of Extraordinary Research

兎に角、この弛まないpuzzle solvingとしての累積的な研究活動は、予測したように機能する特殊設備、其れから何が期待できるかを精密に知って、何かおかしなところがあればすぐ其れに気付く事のできる優秀な研究者を要求する。
これらなしでは、究極的には革新に導く結果は起こり得ない。anomalyはparadigmによって与えられた基盤に対してのみ現れるのであって、そのparadigmがより正確で、より徹底した物であればあるほどanomalyをより敏感に示す事になる。これがparadigmの変更に導くのである。

anomalyの認識が長く続き、深く浸透するとその分野のparadigmに導かれた科学研究は危機的状態the state of crisisに陥る。normal scienceの問題が予想通りに上手く解けないということはnormal scienceにとっては異常事態である。この、既存のルールの失敗がはっきりするようになって初めて革新的な理論が出現を準備する。
特に、長く認められてきた種類の物を難点と認識すると、ホメオスターシスを支えるQED〜paradigmまで怪しくなる。すると問題は急に深刻化して、新しい物を待望する危機意識が広がり、paradigmは瓦解する。｢相競う方向の乱立、何かをやってみようとする意志、はっきりした不満の表明、哲学に訴える事、基礎についての議論｣、これらのすべてはnormal scienceからextraordinary scienceへの移行の前兆であり、即ち自己無撞着self-consistenceを保証されたホメオスターシスからドライブ状態への移行である。

さまざまな理由でanomalyが単なるnormal scienceの問題以上に見えるようになると、crisisへの、そしてextraordinary scienceへの移行transitionが始まる。anomalyそのものが専門家たち一般に認識されるようになり、その点に関してその専門の一流の人々により益々注意が注がれるようになる。この問題が既存のparadigmを十分上手く扱える一流の科学者達の集中砲火に耐えるときparadigmの修正、整備のし直しといった仕事が現れる。

そしてparadigmは拡散し、ruleのぼやけた混乱状態が生ずる。こうしてparadigmの亜種が乱立しincommensurableなparadigm同志の闘争に至る。しかし、研究者個人に注目してみるとparadigmがなくなるような事はない。一方Scientific communityが崩壊する事はありうる。paradigmからparadigmへの転移という形でrevolutionは起こる。

p.83 ...the field will no longer look quite the same as it had earlier. Part of its differe t appearance results simply from the new fixation point of scientific scrutiny. An even more important source of change is the divergent nature of the numerous partial solutions that concerted attention to the problem has made available. The early attacks upon the resistant problem will have followed the paradigm rules quite closely. But with continuing resistance, more and more of the attacks upon it will have involved some minor or not so minor articulation of the paradigm, no two of them quite alike, each partially successful, but none sufficiently so to be accepted as paradigm by the group. Through this proliferation of divergent articulations (more and more frequently they will come to be described as ad hoc adjustments), the rules of normal science become increasingly blurred. Though there still is a paradigm, few practitioners prove to be entirely agreed about what it is. Even formerly standard solutions of solved problems are called in question.

crisisの効果は、まず、paradigmを色褪せしむる事、その結果としてnormal scienceのruleを怪しくさせる事である。こうして新しいparadigmの出現を準備するのである。