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4-1. The Function of Paradigms

ともあれ、 paradigm は過去の一定期間 scientific community に受け入れられてきた業績であり、専ら研究者はこの paradigm に導かれて研究活動を行なう。逆に言えば、研究者は paradigm に参照して未知の問題を研究する事になる。本書ではこの研究活動を normal science と呼んでいる。

paradigm は研究者に世界とは如何なるものであり、同時に如何なる物でないのかという情報を与える。この閉じた世界の中で研究者は paradigm にとって関心のある問題を議論し、 paradigm に依存する観測設備で以って実験観測活動を行なう。 normal science の目的は、 paradigm の整備と拡張、実験値と理論値の一致精度の向上である。

従って、研究者の選ぶ事のできる研究活動は自ずと限定されることになる。その代わり、 paradigm の外延にあるその問題は、必ず解き得る事が保証されている。解く事ができないのは研究者が十分上手く paradigm を扱えないからであって paradigm の責任ではないとされる。

この「解ける」というメタ情報を信頼するが故に研究者はきわめて限定的な領域を、信じられないほどの情熱で以って、深く探求し得るのである。

So long as the tools a paradigm supplies continue to prove capable of solving the problems it defines, science moves fastest and penetrates most deeply through confident employment of those tool.

自然はあまりに複雑なため、これをそのまま扱う事はできない。 paradigm は科学者に世界が如何なる物であり如何なる物でないかの両方の情報を与え、デュオニソス的カオスである自然の中に、閉じたアポロン的コスモスを形成する。結果、科学者をして自然のほんの限定的な一面を研究させしむる事になり、 normal science はこの閉塞した世界の中での約束事、ゲームである事になる。

このコスモスでは、古代ギリシア的な西洋合理主義の権化である QED (quod erat demonstrandum) の精神に貫かれたホメオスターシスが実現している。科学者はその専門教育によってこの想像的な理想系を自然と同一視する事になる。歴史的、社会的なこれらの制約により、科学者はこの恣意的なparadigmを受け入れざるを得ない。この決断は科学者たらんとする者にとって不可避的なものである。

normal science は優れて cumulative に発展する自己無撞着なものである。この self-referential な体系=制度は非論理的な仮定に立脚する。この理論背後的仮定は理論の外部にある、言わば恣意的なものであるが故に paradigm の最も根本的な部分である。


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